海は空を映す鏡。
青く、蒼く、白く、白く、その姿を映す。
空が紅くなれば、また海も紅く染まる。


***海鏡空還***


真紅のジャケットに身を包み、今宵も空は闇に染まる。
月が敵を撃ち抜き、太陽はその明るさで目くらまし。
海は、空と離れることなく、唯斬るのみ。只斬るのみ。
無駄もなく、バランスも取れている。最高の組み合わせ。最高の仲間。愛すべき人達。

なのに、何故。
何故今さら海はこんな事を言う?
『地上から見た水平線では、海と空は離れることはないかも知れない。だが…真実は現実は、とてもとても遠い処に在って、己が手を伸ばしてみても貴方は高い高い場所に在るのだ。太陽も月も己よりずっと高い処に在るのだ』

月も太陽も何も言いませんでしたが、空だけはやんわりと海の言葉を否定しました。

『貴方は変わらない場所にずっと在る。そして皆を静かに受け入れてくれる。場所は離れているか知らないが、いつも皆の心は貴方の処に在るのだよ』

その言葉に、海は静かに聞き入り、そしてさざ波のように何度も小さい声で礼を言った。
そして、海は真紅のジャケットに包まれ、空の手により紅く染められていった。
いつの間にか月と太陽は何処かに沈んでいた。



海は空を映す鏡。

空を映しては羨み、己の不甲斐なさを嘆く。

空は海に還りゆく。

空は海を欲し、今宵も海に還りゆく。





終。






後書き
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えぇと…分かり難く書いてあるので解説をば。
空=ルパン
海=五右エ門
月=次元
太陽=不二子
と、変換して読んで頂ければ幸いです。
後書きを読まずに分かって頂けた方がいましたらお友達に…!
設定的には五右エ門が仲間に入りたて、一番年下という感じです。
素晴らしい面々に負い目を感じながらも頑張る五右エ門、だけどやっぱりたまに弱音を吐いてしまう。
それをいつもルパンがフォロー。
そして、そんな健気な五右エ門をメンバー全員が好いている。
そんな話をちょっと変わった書き方で書いてみたかったんですよ…。
タイトルは造語です。全体的に分かりづらい話で申し訳ありません…!