盗みに必要なのは計画。綿密かつ繊細な計画。
盗むものが大きければ大きいほど、難しければ難しいほど、その計画は重要性を増してくる。
特に彼のような世界的に有名な怪盗には、優秀な計画が必要だ――。
そして、その優秀な計画には多大なる時間も必要なのだ――。


***T STEAL YOUR HEART***


仕事を共にするようになって、もう幾年過ぎたのだろう。
彼を仲間に加えてから、どれ程仕事がしやすくなったのだろう。
助けて、助けられて。守って、守られて。
『もちつもたれつ』とはこういう事なのだろうか…。

掴むことの出来ぬ雲のように、静かに流れる川のように、闇に溶けて仕事を成す。
今までいくつもの宝を盗んできた。
しかし…。ルパンほどの大怪盗にもまだ盗めていないものが一つある…。
その宝は、世界に一つだけ。難度は五つ星。警備も厳重。
しかし、ルパンには自信があった。その宝を盗む自信が。
いや、自信がなくとも、ルパンにはその宝が必要で、大切で、愛しかった。
盗まねばならない。何としてでも。どんな事をしても。

『コンコン』

「おーい、五右エ門ー。」
ドアをノックして、泥棒が呼びかける。内に居る侍が返事をする。
「なんだ、ルパン。こんな遅い時間に…」

『ガチャ』

ドアの開く音と同時に、長年を費やして企てられた計画は実行された。
「こんばんは。ちょっとお邪魔しちゃうよ?」
笑顔を浮かべてルパンは言う。
窓から見える月が、綺麗な晩だった。







後書き
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まだまだ続く予定です…。
ルパゴエ馴れ初め話…と言えるんでしょうか…。
小説久しぶりすぎて書き方忘れてしまった…!