『チュンチュン』

スズメの鳴く声と共に朝日が一日をもってくる。
天気は快晴、空気も良い。だが、この部屋の主はといえば…。
「……全く眠れなかった…。」
ゆるゆるとベッドから上半身を起こし、髪を掻き上げ五右ェ門が呟く。

『好きだ、五右ェ門』

不意に脳裏に昨晩の事が浮かんできて、五右ェ門は赤面した。
いつもより真剣な表情、低い声、熱い息……。
記憶を辿れば感覚がリアルに甦ってきて、五右ェ門の体はカァッと熱くなる。
五右ェ門はそんな感覚を振り払おうと、ブンブンと頭を振った。
このままではいけない…。だけど、返事を訊かれた訳でもないのでどうしようもない…。
その事を一晩中ずっと考えていた。
また不意に部屋に、
「ごめんごめん、五右ェ門ちゃん。返事訊くの忘れてた〜。」
などとふざけた様子でやって来るものと思っていたのに…。
結局ルパンは五右ェ門に自分の気持ちを告げて、ただ…それだけだった。

しかし、本音を言えば返事を訊かれなくて良かったのかも知れない…。
五右ェ門は俯きながらそう思う。
今返事を訊かれたら答えは…。
答えは…
答えは…?

「はぁ…。」
大きな溜め息をつき、五右ェ門はまたベッドにあお向けにドサリと倒れこんだ。
天井を見つめながらボンヤリとする。

答えは?俺の気持ちは?俺はルパンの事を……?
考えすぎて頭が混乱を起こし始める。
これからルパンにどんな顔をして会えば良いのだろう。
俺はルパンの事をどう思ってるんだろう…。
ルパンは俺の事を本当に………?

五右ェ門は、あまり言葉を外に出さない分人より余計に考え込む事が多かった。
昨晩切れた蛍光灯を五右ェ門はボンヤリと見つめていたが、いつの間にか眠ってしまった。








 








後書き
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まだまだ続きます…。
ルパンのやり方が非常に卑怯で…スイマセン…。