あの夜から数ヶ月が経った夜、睦月の空には半月が輝いていた。
寒空の下に佇む五右ェ門は「ハァ…」と溜め息をつく。
吐いた息はたちまち白くなり、無数の星が瞬く空へと、昇っていった。
あの夜から、ルパンと五右ェ門の関係は………全くといって良い程何も変わりはしなかった。
いつものように仕事をし、会話をした。
五右ェ門があの夜の事は夢だったのではないかと思ってしまう程だった。
しかし、そんな中でも変わったことは幾つかあった。
五右ェ門のルパンを見る目と、ルパンの女癖だった。
あの夜と、その次の日からのルパンは、ただひたすら女を求めて追い掛け回していた。
昔からそうなのだが、ここ数ヶ月は本当に…特に酷かった。
「好きだと言ったくせに…。」
思わずポツリと言葉に出してしまい、その事に気づいてハッとする。
そして、ブンブンと頭を振って否定をする。
奴が女を抱いていようがいまいが己には関係の無いこと。
こんな風に気にしていては、まるでおなごの様だ。俺は別にあいつの事など…。
そして、いつもここで思考は止まってしまう。
何日考えても、何ヶ月考えても、あの夜の答えを出すことは出来なかったのだ。
「ハァ…」
五右ェ門はまた溜め息をついて、星空を見上げた。
黒い空に白い星がよく映えて、とてもとても綺麗だった。

「あらら、五右ェ門ちゃん。こんな所にいたの。」
背後から不意に声を掛けられ、五右ェ門は振り向いた。
「…ルパン!」
「こんな所に居たら寒いでショ。中入りなよ」
そう言ってルパンは親指で暖かそうな光を放つアジトを指す。
「いや、拙者はここでいい。」
ふわりと笑ってみせて、五右ェ門はその場に座り込んでまた星空を見上げた。
ルパンはやれやれと口角を右に上げ笑い、五右ェ門の隣に座った。
「なぁ…五右ェ門…。」
「ん?」
「俺と…一つ大きい仕事しねぇか?」



 








後書き
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まだまだ続きますー!
ここから第二部突入です!冬の星空が大好きです。