「俺と…一つ大きい仕事しねぇか?」
天才的大泥棒の目は、とても真剣に五右ェ門の目を見つめていた。
「大きな…仕事?」
五右ェ門は訝しそうに尋ねた。
「あぁ…下手すりゃ命の危険も伴う仕事さ。」
ま、いつも命の危険を伴ってるんだけどね。そう付け加えてルパンは五右ェ門を見つめながらウィンクしてみせた。
すると五右ェ門はほんの少し考え、そして笑って答えた。
「どうせ断れないのだろう?」
ルパンもまた笑ってみせた。





『ムーンストーン。日本語で言えば月長石。
透明で青みを帯びた白色なのが通常だが、近年そのムーンストーンで赤い色のものが発見されたようだ。
一般に赤い月は不幸を呼ぶと言われていて、発見した人やその周りの人は皆謎の死を遂げていて大層気味悪がられていたのだが、最近になってその赤い月に大金を出して買い取ろうとしている人間が出たらしい。
誰の目にも触れられぬよう倉庫の奥底に眠らせていたある博物館の館長はまた不吉なことが起こっては困ると言って断固として売ろうとせず、今も交渉は続いているそうだ。』

何枚かのスライド写真をスクリーンに映しながら、ルパンが五右ェ門に説明してみせた。
「これを盗むだけなら大したことはないだろう。何か裏が?」
五右ェ門がルパンを見て尋ねる。
「その通り。さっすが五右ェ門ちゃん。」
察しが早い五右ェ門にルパンはにっこり笑ってみせた。
君はいつも俺の考えていることを一早く理解してくれる。
その事がルパンにとってどれほど嬉しいことか、幸せな事かは五右ェ門は知る由も無い。
「その裏とは?」
五右ェ門が、真剣な表情でルパンに尋ねた。



 









後書き
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まだまだ続きますよー!
次元はルパンの事を誰よりも知ってるけど、五右ェ門はルパンの事を誰よりも理解していると思うんです。