「(本当にどうしようもない奴だな…)」
ひどく打ちひしがれた様子の相棒を見て、次元は溜め息をつく。
しかし、ルパンの苦しみが次元には痛いほど分かるような気がして、帽子を深くかぶり直した。
五右ェ門を護ることが出来なくて悔しいのは、ルパンだけではなかった。

大切な仲間を、綺麗な君を、二つの銃では護れなかった。
だけど、今やるべき事は嘆くことではない。
次元にはネズミの居そうな場所に心当たりがあった。

「なぁ、ルパン。いつまでもそうやって後悔するよりも先にやる事があるはずだぜ?」
ルパンはそう言われて顔を上げた。
拳銃で帽子をクイと上げた相棒が玄関の前に立っていた。
「ネズミ退治と行こうぜ。」
次元はニィと笑ってみせた。
いつの間にだろう。あれ程降っていた雨はもう止んでいて、差し込む光がやけにまぶしかった。
「そうだな。」
ルパンは相棒の言葉にうなずき、右手には愛する銃を、左手には愛する人の剣を持ち、立ち上がった。
玄関の扉を開ければ、雨に濡れた世界は太陽の光を浴びてキラキラと輝いていた。
「今助けに行くよー!五右ェ門ちゃーん!」
ルパンが車に乗り込みながら、ふざけたように大きな声で叫ぶ。
「本当お前は調子の良い奴だな。」
次元が助手席で呆れたように、しかし笑いながら言う。
二つの銃は一つの剣にこう言った。
「お前の主人を盗り戻そう。」
剣は銃に礼を言った。




 








後書き
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まだまだ続きます。
ルパンはやはりお調子者であって欲しいのです。