黒い空から雫が落ちる。
落ちた雫は地に浸みる。
浸みた雫は木の根に入る。
入った雫は葉に移る。
移った雫は吐き出される。
出された雫は天に昇る。
昇った雫は雲に成る。
成った雫はまた落ちる。
時の流れとはそういうもので、この循環は決して変わらない。
この循環は永久にある。


ネズミ族のアジトに乗り込んでから数日。
雨はまだ降り続いていた。
冬だというのに雪にもならずに。

数あるルパン達のアジトのうちの一つ。
その建物はアジトにしては珍しく、荒野の中にポツリと建っていた。
周りに家どころか人すら居ない。
銭形にすぐにバレてもおかしくはない程なのに、このアジトはなかなか見つからない。
それも含めて、ルパン達は秀でた才能の持ち主なのだろう。
見た目は灰色のコンクリートで出来た建物。平べったくて広い一階建てだ。
部屋の数は五つ。ルパン一家(不二子も含む)の各々の部屋と、作戦室。
風呂やトイレやキッチンなんかもきちんと設備されているあたりは、ルパンの不二子への配慮なのだろう。
現に、不二子の部屋は一番広いし、風呂のすぐ隣にある。ルパンの部屋はトイレの横だ。
そうやって女を大切に、自分は他人の嫌がる場所に進んでいくあたりが、ルパンが女にモテる理由なのだろう。
女癖は悪いが、実はとっても紳士なのだ。
そして、そんなアジトで五右ェ門は眠っていた。
あれから数日…全く目を覚まさずにずっと眠っている。
その横で、紳士は全く眠らずに五右ェ門の看病をしていた。
酷い火傷を負ったせいか、五右ェ門の熱は高かった。
そんな五右ェ門を見て、ルパンの心はまた後悔の念にさいなまれた。
「ごめんな、五右ェ門。」
小さな独り言が、五右ェ門の部屋に響き渡った。



 








後書き
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まだまだ続きますー。
ルパンは本当に紳士で格好良いですよね…!