何故こんなにも自分はルパンの足ばかり引っ張ってしまうのだろう。
今回の赤い月だって、きっと俺の事を、俺の力を本当に信用して一緒にやろうと言ってくれた仕事だったのに。
そして、捕らえられたことだって………一度ならず二度までも…!!!!
あの時、もう二度とこんなヘマはしない、もっともっと強くなって絶対にこんなことはもうないようにする、と自分にも助けに来てくれたあの人にも誓ったはずなのに!
悔しくて、悔しくて、決して外には出さなかったが、心の中では悔し涙を流していた。
そういえば、あの時ルパンはただ黙って俺を抱きしめていてくれた。
嗚呼、俺はなんて馬鹿なんだ。
あの人は本当に優しくて、優しくて、よく考えればいつだって俺の横にはあの人がいたじゃないか。
いつだって俺の事を一番に考えていてくれた。
俺の事を好きだと言ってくれた。
そんなあの人との約束を、俺は守れなかった。
愛しいあの人の足手まといだけには、なりたくないのに!なりたくないのに!!!!!
そんな想いとはうらはらに、五右ェ門は今も尚ネズミの手中にあって、手下どもの手は休まずに五右ェ門をただ痛めつけるだけだった。
「ルパン……」
そう一言だけ呟き、五右ェ門は意識が遠のくのを感じた。
だんだんと白くなる世界の中、あの人の姿が見えた気がした。
(あぁ、ルパン……俺もお前が好きだよ)
いくら考えても出なかったはずの答えを心の中で呟き、五右ェ門は微かに微笑んでそのまま意識を手放した――――。



 








後書き
―――――――――――――――――――――――――――
まだまだ続きます。
危機的状況でこそ自分の本心に気付く事だってあるのです。